2ntブログ

疾走する記憶たち

このところ、お金がないので、本はたいてい図書館で借りる。


最近は便利になって、本の検索なども家からインターネットでできる。


そのため新宿区になかったり、貸し出し中だったりすると、近隣の区の図書館も検索する。というわけで、先日も


千代田図書館に行って本を借りた。


で、帰ろうとすると後ろから


「まっさん」


と呼ぶ声が聞こえた。僕のことを〝まっさん〟と呼ぶ人は数少ない。


東京に出てきて数年後、僕が下関マグロになる間に知り合



った人だ。


たとえば北尾トロがそうだが、声の主は北尾トロではない。


ふり返ったら、すぐにわかった。Sである。


何十年ぶりだろうか。Sはもともと3人ほどで小さな編集プロダクションをやっていた。それは知り合った頃というか、よく逢っていたころの話で、
20代から 30代のはじめ頃である。その後、風のたよりに彼の会社は50人だとか100人の社員を抱える大きな会社になっているということを聞いた。


久しぶりに会ったSは、相変わらずオシャレで、高そうなワイシャツをきちんと着ている。さすがに羽振りがいいんだなと思ったが、


今は社長業はしていないと言う。


倒産したかどうかわからないが、彼は苦笑いをしながら、


「いい夢を見させてもらったよ」


と言う。なんでもそれだけ大きな会社になったのはほんの一瞬で、


最後の2年間は資金繰りで大変だったそうだ。


それで今は小さな出版社で編集の仕事をやっていると言った。


しかし、時間というのはあっというまに経過するわけだが、


こうして昔の知り合いと会っていると、20代のころのことがよみがえる。


図書館でしばし立ち話をして別れた。





そのあと神保町まで歩き、


これまた久しぶりに「ボーイズカレー」を訪れた。

ボーイズカレー



オールアバウトの記事
のためだ。


こちらも二十数年ぶりだろうか。


「昔ね、よく来てたんですよ」


と、昔はボーイズだったろうお店の人に話しかけた。


しかし、昔のことはよく覚えていないなぁ。


よくきたのはたしかだが、何カレーを食べていたんだっけ。


とりあえず、チキンカレーにする。


ご飯の量が多いので減らしてもらった。


20代のころは必ず大盛を食べていたんだけどなぁ。


と、カレーを一口食べたら、わぁーーーと自分の中で、


ああ、この味だと、この店のことが少しよみがえってきた。


なんだか泣きそうになる。


近くの芳賀書店でビニ本を買って、ここに駆け込み、


急いでカレーを食べ、水道橋まで歩いた記憶がよみがえってきた。


早く家に帰ってビニ本が見たいから、あせって食べたあの記憶が、

鮮明によみがえってきたのだ。


ああゆう記憶っていうのはなんなんだろうか。


一瞬にして、あの頃に引き戻してくれる。

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